坊主バー住職ブログ

『日本での葬儀・お墓・墓じまい』海外在住者の為の終活
2019年4月29日

日本での葬儀・お墓・墓じまい 海外在住者の為の終活

日本での葬儀・墓じまい・お墓について、海外在住者の方に役立つ情報をご紹介します。
誰にでも必ず訪れる「その時」、心穏やかに迎える為の参考になれば幸いです。

 

日本で最期を迎える為に 葬儀やお墓について

やがて訪れる「その時」。慣れ親しんだ海外で最期を迎える方も多いと思いますが、中には「最期は日本で迎えたい」「日本の地で眠りたい」といった思いをお持ちの方もいらっしゃる事でしょう。
日本で自分らしい最期を迎えるための準備として、1.現代の葬儀事情 2.故郷の墓じまい 3.様々なお墓のかたち についてご紹介します。

1.現代の葬儀事情

臨終から納骨まで 日本の葬儀の流れ

まずは、日本での葬儀についてご紹介します。一般的な葬儀の流れは以下の通りです。

臨終→葬儀社決定→搬送→安置→納棺→通夜→告別式→火葬・収骨→納骨または自宅安置

臨終後、遺体は自宅や斎場などに搬送されますが、大きな病院の場合、遺体はいったん霊安室に移されます。ここで気を付けたいのが、病院の霊安室から自宅などに搬送する場合、病院専属の葬儀社が取り仕切る事になりやすく、途中で葬儀社を変えることは難しくなります(葬儀社を選ぶ事が出来なくなってしまう)。もし事前に葬儀社を決定している場合は、その点についてもきちんと確認しておきましょう。

 

葬儀の形態 多様化する葬儀の形

葬儀の形態には、親族・近隣・会社など故人に縁のある方を招き、通夜・告別式を2日間かけて行う「一般葬」をはじめとして、近年では、親族や親しい人だけを招く「家族葬」や、遺族の負担を考え1日で執り行う「一日葬」、そして式典を行わずに荼毘に付す「直葬」も増えています。
「家族葬」や「一日葬」の方が経済的・身体的負担が少ないと考える方もおりますが、故人と生前に親交のあった方に葬儀のお知らせも出来ず失礼してしまう場合や、参列者が限られる事で香典等の収入が減り、「一般葬」よりも費用がかかるケースも見受けられます。
個々の状況に応じた、収入(香典などを含む)と支出(斎場使用料、祭壇など)のバランスを考える事が最も重要です。
また葬儀において大切な事は、亡くなった人を弔うという本質的な事ができるかどうか。大切な人の死と向きあう時間です。地域によって風習も異なる上、親の要望や遺族の思いはそれぞれ違うため、冷静に話し合えるうちに、葬儀の規模や人数、流れなど大まかな事を決めておくとよいでしょう。近年は、生前に自分らしい葬儀を考えて準備をする人も増え、特に終活という言葉が広く知られるようになってからは、葬儀や墓の話もタブー視されない傾向にあるようです。葬儀に関してある程度話をしておけば、残された遺族の不安も軽減されます。
良い葬儀社を選ぶには、複数の会社から見積もりを取る事。担当者の説明などを直接聞いて確認する事。最近は葬儀紹介会社という業態も多く、さまざまなトラブルの原因になっているため、見積もりから葬儀まで一貫して行う会社を選んだ方がよいでしょう。またセット料金はお得なように見えますが、不必要なサービスが付いている事もあるため、要望に合っているかを確認しましょう。

2.故郷の墓じまい

なぜ今墓じまい? 継承者不在で無縁墓

次に「墓じまい」です。TVでも特集される機会が増え、厚生労働省による調査では1年に10万件を超える改葬(墓じまい)が行われています。
背景にはお墓を護る人がいないという現状があります。具体的には、都市部への人口集中による地方の過疎化、少子化による承継者不在 (娘だけ等)、特にはライフスタイルの多様化・価値観の変化が挙げられます。産まれ育った土地で一生を過ごすのではなく、海外も含め様々な場所へと生活拠点を移すことが一般的になり、故郷の墓を護っていく事が難しくなっています。
海外にお住まいの皆様の中にも、『故郷のお墓を今後どうしようか?』とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。継承者不在で放棄された墓地は放置墓・無縁墓と呼ばれ、寺院や管理者によって撤去されてしまいます。
将来的に墓を護っていく事が難しい場合には、ご自身の代できちんと「墓じまい」をし、無理のない供養の形を選択する事も重要です。

 

墓じまいの実際 その手順

「墓じまい」とは「今あるお墓を片付けて更地に戻し、お寺や墓地の管理者に敷地を返す事」ですが、肝心なのは「お遺骨をどこに移動するか」。つまり、「墓じまい」とは「お遺骨のお引越し」です。
墓じまいの大まかな手順は以下の通りです。

寺院へ墓じまいの相談→新たな埋葬先の選定→改葬の手続き(役所・寺院等) →お墓の工事業者への依頼→ご遺骨の取出し(閉眼供養) →新たな埋葬へのご遺骨の安置

決して難しい手続きではありませんが、誰もが初めての多岐にわたる手続きで、時間と手間を要するのも事実です。「墓じまい」の意向がある場合には、ご自身や関係者が元気なうちに取り組む事がとても重要です。
特に今までお世話になった菩提寺様に墓じまいの話を持ち出すのは、なかなか言い出しづらい事です。又、お寺によっては離檀料を求められる場合もあります。
次の章では、日本のお墓について紹介します。墓じまい後の引越し先や、日本での埋葬先を検討する場合の参考にしてください。

3.様々なお墓のかたち

お墓の種類 寺院墓地・公営墓地・私営墓地 

墓地の種類は大きく分けて3つあります。お寺の境内地にある寺院墓地、市町村などが運営する公営墓地、実質的に石材店が管理運営している私営墓地(霊園)です。それぞれ一長一短があり、寺院の場合は、その宗旨に帰依し、檀家の義務があるものの、代々にわたって墓を守ってくれるほか、葬儀以外の相談にも乗ってくれます。公営墓地の利点は、費用や永代使用料が安いことが挙げられますが、取得は抽選になることも多いようです。私営墓地は、宗派も関係なく、手入れも行き届いていますが、寺院や公営に比べて費用が高いようです。

 

お墓の形態 個別墓・納骨堂・自然葬・永代供養墓

墓地の形態には、従来型の「~家先祖代々」というように、「家」が継承していく個別墓、ロッカー式や棚に骨壺を安置する納骨堂、海や山に散骨を行う「自然葬」、「家」に代わって寺院や霊苑が護っていく合同墓「永代供養墓」があります。
「個別墓」は場所や墓地の大きさにもよりますが、東京都内であれば費用が約200万円~(永代使用料+墓石代金)。継承者を必要とし、墓地が存在する限り年間管理料の支払いが必要です。
「納骨堂」は管理者により様々ですが取得費用として5~100万円。継承者を必要とするケースが多く、ロッカー式や機械等、様々な形があります。お盆など時期によっては参拝者が集中し、参拝困難なケースも見受けられます。
「自然葬」には霊苑の敷地に植えられた樹木の根本に遺骨を埋葬する「樹木葬」や、海へ散骨する「海洋葬」、寺有林や山に散骨する「森林葬」があります。費用は5~100万円と幅広く、内容も様々です。継承者・管理料等は不要ですが、納骨後の改葬は困難であり、法律的には未整備なのが実態です。
最後の「永代供養墓」は、「家」ではなく「寺院や霊苑」が護り、多くの方と一緒に眠る合同墓です。
永代に亘り管理、供養を行ってくれますが、こちらもサービスや費用には大きな差があり3~100万円程度。継承者は不要、管理費等かかる場合もあるようです。
一口に「自然葬」「永代供養墓」といっても運営する事業者によって、内容や金額が大きく異なりますので、よく見比べることが大切です。

 

アメリカ在住 最期は日本で眠る 送骨も可能

米国在住の方への情報として、最期は家族のいる米国で迎えても、やはり故郷である日本の土に眠りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。米国在住の方も火葬された遺骨は日本で埋葬可能です。この場合、管理料や継承者を必要としない永代供養墓がおすすめです。
5年、10年先ではなく、より長期的な視点に立って検討する事が何より大切です。
米国で火葬したお遺骨はきちんと準備をすれば帰国する際に携帯する事が可能です。様々な事情で帰国が難しい場合には、簡単な手続きで遺骨を日本へ郵送(送骨)できます。日本人の葬儀を多く扱う現地葬儀社様の中には送骨の準備を代行して下さる方も多いようです。万が一の際の備えとして、葬儀社様に事前に相談・申込みするのも良いでしょう。

(住職 仙田智一)

ご相談・お問合せ

菩提寺があっても、海外に長く住んでいると、いろいろなしきたりが分からないという方も多いのではないでしょうか。
NPO法人寺院ネットワーク(主幹事:宝性寺)では、お墓や葬儀に関するお悩みや疑問を随時無料で受け付けております。メール又は電話にてご相談ください。
又、海外在住者の方へ情報提供を目的とした『終活セミナー』と個別相談会を執り行っています。過去にはロサンゼルス、サンディエゴ、アリゾナ、ハワイにおいて開催し、今後も年に数回の開催を予定しています。是非ご参加ください。

 

真言宗豊山派宝性寺越谷別院
NPO法人寺院ネットワーク
代表理事 住職 仙田智一
埼玉県越谷市北越谷5-4-45

TEL: 048-979-5151(9:00~17:00対応)
E-mail: info@894.or.jp
Website: www.894.or.jp

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